会長あいさつ

会長 あいさつようこそJEFホームページへ。

この度、JEF会長に就任いたしました豊田でございます。

JEFは、1981年に日本の考え方や実態を海外に発信していく機関として設立されました。当時は、日米間において日本側が大幅な貿易黒字を抱え、二国間に深刻な貿易摩擦が生じていた頃です。諸外国とは、緊密になるほど利害対立が起きるものですが、そうした場合も対立を煽るのではなく、交流と対話を通じて解決策を見出すことが重要です。お互いの状況や背景を理解し合った上で、相互の経済的繁栄を実現することが世界の平和にもつながるとの確信の下、JEFでは世界各地域にフォーカスした経済フォーラムやダイアログ、日本経済や世界経済の今を知っていただくための隔月刊英文電子ジャーナルの発行などを中心とした事業活動を行っており、今年で40周年を迎えます。

設立当初、直面していた日本と諸外国の通商上の課題は年月を経て解決の方向へと向かい、WTOの創設や地域経済統合も進展し、多くの自由貿易協定も締結されました。しかしながら、今日、制度間闘争の様相を見せる米中の覇権争いや、先進国内の格差拡大を背景とした反グローバリゼーションの高まりの中で、国際経済システムは危機に立たされています。パンデミックは、こうした状況を深刻化させており、私どもは、この危機を乗り越えるための、日本の貢献を考えるべき時に来ております。

米中の対立を乗り越えて、貿易と安全保障の両立に向けた新たなルール作りの必要性、また世界的なデジタル化の中で、「信頼性ある自由なデータ流通」を実現するための秩序の必要性など、国際経済システムの再生と強化が求められています。更に、地球規模の中長期的課題として、国内の所得格差のみならず、国家間の格差、エネルギー・地球環境問題の深刻化、更には高齢化問題など成長の制約となる課題が山積しております。そして、パンデミックはこのような問題を加速させています。このようなピンチを、如何にチャンスに変えられるか、我々は、各国の有識者と議論を重ね、その結果をホームページなどを通じて、皆様に発信して参ります。

大国同士の覇権争いは、様々な地政学上のリスクを生み出し、ビジネスにも影響を及ぼします。ビジネスを行うにも、そうしたリスクに向き合い、どう克服するかを考えざるを得ません。不確実性が高まる中で、我々は信頼のおける世界のオピニオンリーダーから知識と知恵を集め、柔軟にこれを共有できる組織でありたいと考えます。

これからも、予測可能なビジネス環境づくりを行うべく、各種事業を通じた発信と交流の場づくりを進めて参ります。皆様にはJEFへの積極的な関わりと、一層のご活用をいただき、国際経済システムの動きをご理解いただくと共に、ビジネスや政策策定など様々な場面での意思決定にお役立ていただければ幸いです。

2021年7月1日

一般財団法人 国際経済交流財団(JEF)
会長 豊田 正和

豊田会長 経歴